イギリスのファッションEC ASOS にみるスマートフォン戦略

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イギリス / 英国のファストファッションブランド ASOS (エイソス) は、レディースからメンズ、コスメまで幅広く取り扱うオンライン専業のEコマース (EC) サイト。

5万点以上のアイテムを展開し、1商品から送料無料で海外配送 (ただし、到着まで1~3週間程度) するなど海外販売にも力を入れており、2011年上半期で既に海外売上が全体の58パーセントを占めている。日本でも ZOZOTOWN にて2010年3月から出店していたが、2012年3月にちょうど2年で撤退した。

イギリスのファッションEC ASOS にみるスマートフォン戦略

 

スマートフォン普及によるモバイルコマースへのシフト

さて、世界的なスマートフォンの普及によりモバイルコマース市場は急速に拡大している。米国では、モバイルショッピング利用者全体のうち9割以上がスマートフォンからの利用と予想されており市場も倍々で伸びている。ヨーロッパではこれまでの Nokia 一辺倒から Apple や Samsung が台頭しモバイルショッピングの流れが出来てきている。

ASOS は、昨年2011年にヨーロッパを中心にモバイルデバイス (ほぼスマートフォンと想定) 経由の売上を800%も伸ばした。同年の全トラフィックのうち10%ほどがモバイル経由だったが、年末には比率が19%となり上昇傾向にある。今後モバイル経由の売上比率も20 ~ 30%となると予想されている。

日本に目を移すと、日本の代表的なレディースアパレルのSPAである 夢展望 は、2011年9月時点でスマートフォン経由での売上比率は15%ほどだったが、2012年2月には28%と倍近くになり、そして、2012年中に50%を超えると見込んでいる。

 

スマートフォンベースのECはネイティブとウェブどちらにするべきか

スマートフォン対応へのプライオリティが高まる中、現状、各社を見ると、スマートフォンでのショッピング体験をウェブアプリよりもネイティブアプリで最適化する傾向にあるように思える。ASOS だけではなく、Net-A-Porter、Zara、Forever 21、Fab.com、ZOZOTOWNなどもiOSアプリを開発している。

ASOS のiPhoneアプリを実際に使ってみると、画面はシンプルで分かりやすく、多機能では無いが最低限必要な機能は揃っている。決済時はウェブビュー画面を出していると思われるが、クレジットカード決済もアプリ内で問題なく完結する。また、ネイティブアプリの特長であるGPS機能を活かし、スマートフォンならではのサービスも提供している。アプリ内の “Drop off my return” ボタンをクリックすることで、返品したい商品を返却できる近場の店舗を地図上で教えてくれる。

ネイティブアプリかウェブアプリかの議論は、EC以外でもよくあることで同じような結論にはなるが、上記のGPSや配送場所指定時にアドレス帳にアクセスするなどネイティブ特有の機能が使えることから、現状、決済段階で消費者をアプリ外に遷移させることを除けば、特にサービス上の欠点はネイティブアプリには無いと思われる。問題はプラットフォームに依存することで常に受け手になってしまうことや、開発コスト、そして、値引きなどのプロモーションを細かく実施しようとする時、頻繁な更新ができないということが挙げられる。

実は、ASOS はウェブアプリ (モバイルSafari / Chrome) でもネイティブとほぼ同等のデザイン・機能を提供している。ウェブだとどうしてもデータ読み込みなどで少し引っかかったような動きになるものの、実用的には全く問題ない感じだ。Net-A-Porter も同様に質の高いウェブアプリを提供している。現在、ASOS はネイティブとウェブ両方を試している状態だが、どちらかに経営資源を集中させるのか、それとも当分二足の草鞋でいくのか、動向について注視していきたいと思う。

 

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出典 :
イギリスのEコマース「ASOS」のiPhoneアプリケーション – スマートフォンタイムズ
英国最大級ECサイト「ASOS(エイソス)」オリジナルブランドがZOZOTOWNにオープン – Fashionsnap.com
「夢展望」2012年のスマートフォンでの売上比率は50%を予測 –  MMDインタビュー

 

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