米国では、Eコマース (以下 EC) 市場での アパレル (&アクセサリー) 分野の増加額 (2011年) がすべてのカテゴリの中で最も多く、今後のECのリーディングカテゴリとして注目されています。
このデジタルリテイリングの台頭にアパレル小売業者はどのように対応すべきなのでしょうか? Bain & Company の Darrell Rigby (ダレル・リグビー) による記事 ” The Future of Shopping ” にそのヒントがあります。
土曜日のシカゴ。外は雪だが、28歳のエイミーは、休暇先のカリブ海で着るリゾート・ウエアを探している。
で始まるデジタルとリアル店舗融合の夢物語は、Rigby 曰く。
あなたが思うほど遠い未来の話でもなければ、夢物語でもない。エイミーが利用している技術はいずれもすでに実用化されており、その大半は5年以内に日常的に見かけるようになるだろう。
この物語を意訳すると、先ず、エイミーはショップのパーソナル・コンシェルジュとテレビ会議を行い、ファッションアイテムをウェブ上の自身のアバターに重ね合わせます。その間、ブラウザの別タブでカスタマーレビューを読み、価格を調べ、在庫商品を試着するために店舗へ向かいます。
彼女がオンラインで選んでおいた服の他に、それに合う靴などが用意された試着室へ行きますが、スマートフォンで靴のバーコードをスキャンしてみると、同じ商品が他店で30ドル安く売られているのを知り店員に言うと、すぐに他店と同じ価格を提示してくれます。
試着したエイミーは、友だち3人に動画を送り意見を求めます。返信はすぐに届き全員が購入に反対してますが、彼女は購入する商品を一つにまとめ、クーポンがもらえるサイトで購入し (73ドル節約) 、その場でスマートフォンにて精算します。
出口に向かう途中、等身大のスクリーンがエイミーを認識し、とても魅力的な夏向けのブラウスをスペシャルプライスで提示します。彼女は今月の生活費の残高をオンラインで確認、スクリーンに表示されるエイミー専用のクイック・レスポンス・コードをスマートフォンでスキャンしました。この商品は明日には彼女の自宅に届いているでしょう。
しかし、このような消費者にとっての福音も小売業者にとっては厳しい現実です。Rigby は以下の通りこの物語を締めくくります。
豊富な情報、完璧に近い価格透明性、特典のオンパレードは、買い物客には「夢の実現」に思えるが、多くの小売業者にとってはむしろ悪夢となり始めている。
ファッションコマースの未来は、ウェブもしくはスマートフォンアプリのサービスからも感じ取ることができます。
ファッションアイテムの横断検索とコラージュ共有の POLYVORE、ファミリーセールの GILT、サブスクリプションコマースの ShoeDazzle、キュレーションコマースの Fab.com、ソーシャルコーディネート評価の Go Try It On、海外配送料を無料にしFacebookコマースにも力を入れる ASOS、O2Oを促進する Snapette、アパレル2次流通を進める Poshmark などがその代表といえます。
既にサービスは終了しましたが (Google Product Searchに統合)、Googleが当時買収した Like.com の画像認識技術を活用して始めた Boutiques.com もファッションコマースの未来を感じさせるサービスでした。
これらのような、消費者のショッピング体験を技術によって劇的に変えることが、今アパレル小売業者には求められています。
もちろん、ただソーシャルメディアと繋げました、といった取り組みではありません。販売、決済・配送・返品対応・カスタマーサポートなど消費者とのタッチポイントでのショッピング体験を改善し、究極には、店舗での買い物よりもより満足感を得られる価値を提供しなければいけないのです。
出典 :
Social Commerce, Pinterest And The Future Of Fashion Retail – TechCrunch
無数の顧客接点が融合する デジタルを取り込むリアル店舗の未来 The Future of Shopping
– DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー