楽天シンガポールにおけるモバイルコマースの重要性

楽天はニュースリリースにて、シンガポールでのモバイル端末からの購入金額が11億USドルとなったと発表した。シンガポールでの流通金額全体としては2014年で29億9,000万USドルと予想している…

 

Rakuten Asia predicts m-commerce, social shopping growth

楽天はニュースリリースにて、シンガポールでのモバイル端末からの購入金額が11億USドルとなったと発表した。シンガポールでの流通金額全体としては2014年で29億9,000万USドルと予想している。

楽天アジアのディレクターは、「スマートフォン普及率が80%のシンガポールでは、モバイルコマースが成長するために十分な環境が備わっている。AppleがiPhone 6 Plusでファブレット市場に参入し、SamsungもGalaxy Note 4などのファブレットのフラッグシップをローンチし、シンガポールでのモバイルショッピングの更なる拡大につながっていくだろう」と述べた。

モバイルオンリーユーザーの多いアジア・パシフィック地域ではモバイルファーストの考え方が広がっている。楽天は、シンガポールで圧倒的な存在感を誇るC2Cマーケットプレイス (フリマ) モバイルアプリの Carousell への投資を主導している。

楽天は、アジア・パシフィック地域のB2C EC市場規模は、2015年には6,800億USドルに達すると予想している。

 

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出典 : Rakuten Asia predicts m-commerce, social shopping growth – e27 | December 12, 2014

 

シンガポールでメジャーなECサイト15選

東南アジアがEコマースの市場として注目され始めているなかで、インフラの整っているシンガポールは東南アジアでのリージョナル展開を進めるための資金調達をうける試金石となる市場となっています。シンガポールを中心にECを …

 

昨今、東南アジアがEコマースの市場として注目され始めているなかで、インフラの整っているシンガポールは、東南アジアでのリージョナル展開を進めるためにファンディングを受ける試金石の市場となっている。

以下の15社は、シンガポールを中心にECを展開しているサービスである。

 

1. Reebonz

reebonz

2009年にローンチしたReebonzはラグジュアリー商品をディスカウント価格で販売するEコマースのサービス。リージョナルECとしてのインフラの完成度はきわめて高く、国内・国際便の配送料は無料で関税も別途負担となることは無い。

2013年5月に約40億円の投資をMediaCorpよりうけ、2014年3月には、SingPost が運営するシンガポールでの競合となる Clout Shoppe を買収している。

Reebonz 関連記事 :  「シンガポール発Reebonzが期待するインドネシアのモバイルコマース市場

 

2. Qoo10

qoo10

eBayとGiosis Gmarketの提携により、韓国 (Gmarket) 以外のサービスは Qoo10 ブランドで展開している。BtoCマーケットプレイスであるQoo10はファッション、ガジェット、食料雑貨などほぼすべてのカテゴリを網羅し、かなりの低価格で商品を提供している。

クレジットカードを持たないユーザーもカバーするために、コンビニエンス (7-Eleven) 支払いなど決済方法の多様化にも力を入れている。

Qoo10 関連記事 :  「インドネシアのECプラットフォーム Qoo10 に関するデータ

 

3. Redmart

redmart

2011年後半にローンチしたRedmartは、約8,000種類の食料雑貨 (Groceries) を扱うシンガポールで最も有望と言われているEコマースのサービスである。

2014年1月にFacebookの共同創業者Eduardo Saverin氏などから5億4,000万円ほどのブリッジファイナンスを行い注目されたが、それまでにもSkypeの共同創業者Toivo Annus氏やGolden Gate Venturesなどから約3億5,000万円のシリーズAファンディングを実施している。

Redmart 関連記事 :  「シンガポールの食料雑貨EC RedMart が5億円強を資金調達

 

4. Luxola

luxola

Luxolaは2011年9月にローンチしたビューティー・コスメ専門のEコマースのサービス。

6,000万円ほどの資金調達を2012年8月に実施し、2014年初旬には約10億円の投資をトランスコスモス社などから受けている。シンガポール以外にもマレーシア、タイ、ブルネイ、インドネシアにも展開している。

ビューティー関連のヒントやアドバイスなどを掲載する英語のコンテンツサイト LX Edit も運営しており、そこからECサイトへの誘導を促進している。

 

5. NoQ Store

niqstore

NoQ Store は2011年にTimes Publishingの小会社がオープンしたオンラインブックストア。低価格と品揃えの多さで競争優位性を持っている。シンガポール国内便のみ配送料が無料となる。

※ 2014年10月に閉鎖

 

6. HipVan

hipvan

2013年4月にローンチしたHipVanは、デザイン性に富んだファッション雑貨や家具、アート関連商品を扱うFabクローンとみられるEコマースのサービス。

Skypeの共同創業者Toivo Annus氏やシンガポールのセレブリティJade Seah氏などからのエンジェルラウンド後マレーシアへ進出している。

ローンチから1年経った2014年4月には年間売上8,000万円ほどを達成しており、その時点での月間訪問者数は10万を超え商品数は6,000点となっている。

 

7. Bellabox

bellabox

2011年にローンチしたBellaboxはビューティー・コスメ商品 (女性向け・男性向け両方) に絞ったサブスクリプション型Eコマースのサービス。1億4,000万円ほどの資金調達を最近行い、シンガポール以外ではオーストラリアに進出している。

ユーザーはコスメ関連のサンプル品の入ったボックスを1,600円ほどで毎月購入し、気に入ったものがあればフルサイズの商品を別途購入する。2013年時点で250ブランドの商品を取り扱っている。

 

8. VanityTrove

vanitytrove

VanityTroveは2011年後半にローンチしたサービスで、当初、Bellaboxと同じくビューティー・コスメ関連のサンプル品のサブスクリプション型Eコマースだったが、後に同カテゴリのSNSプラットフォームへとピボットした。

既にマレーシア、タイ、インドネシアに進出しており、台湾では Glossybox Taiwan 、ベトナムでは Glamybox Vietnam を買収している。

 

9. Clozette.co

clozette

Clozette.co は2010年11月にローンチした女性向けポータルとコミュニティとECを合わせたサービスで、既に日本 (Glam Media と提携) とインドネシアに進出している。

Seed Ventures IVなどより約2億円のシリーズAファンディング、その後2013年後半にPhillip Private Equityより約3億円の資金調達を行った。2013年時点で会員数30万人、月間800万PVのウェブサービスとなっている。

BtoCマーケットプレイスのSHOPPEカテゴリの他に、BAZAARカテゴリではCtoCマーケットプレイスも運営している。CtoCとはいえ小規模事業者向けだが、シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、そしてインドネシアより出品がある。

 

10. Rakuten Singapore

rakuten

日本のBtoCマーケットプレイスの巨人、楽天は2013年末にシンガポール市場に参入した。日本と同様に取り扱う商品のカテゴリは多岐に渡り、楽天スーパーポイントによるリワードプログラムも実施されている。

シンガポールでは投資も盛んで、Viki を約200億円で買収、後述する Carousell には数社8,000万円ほどのシードファンディングをリード、Coda Payments には約2億3,000万円のシリーズAファンディングと2013年後半に立て続けに発表されている。

※ 2016年2月に閉鎖を発表

楽天シンガポール 関連記事 :
楽天がシンガポールで正式にサービスを開始 – アジア展開5カ国目
楽天のシンガポールEC市場参入の目的とは

 

11. Wego

wego

2005年にローンチしたWegoは旅行関連 (ホテル・航空券予約) のウェブサービス。既にインド、ベトナム、中国向けにローカライズされおり、インド、インドネシア、ドバイにもオフィスを構えている。

直近では2013年6月にCrescent PointなどよりシリーズCファンディング約17億円を資金調達しており、合計の資金調達金額は36億円ほどになる。

2012年5月にはインドネシア市場に向けてValadooというトラベルパッケージのソーシャルコマースに投資するなど拡大を続けている。

 

12. Taobao SEA

taobao

中国のCtoCマーケットプレイスの巨人、タオバオは2013年に東南アジアのハブとしてシンガポールにオフィスを開設した。

ECサイト自体は各国毎ではなく、東南アジア向けにサブドメインseaを付けて1サイトで商品を提供しており国際配送や決済 (Alipay) も完備している。東南アジア以外では台湾と香港向けに同じくサブドメインを分けて別サイトとしている。

タオバオは既にモバイル会員が約1億2,000万アカウントを保有しており、中国でのモバイルコマースのノウハウもあるため、今後、PCよりもモバイルからの買い物が増えるであろう東南アジアでの動きが注目される。

 

13. ZALORA

zalora

2012年にローンチした ZALORA は、東南アジアを代表するファッション関連に特化したBtoCマーケットプレイス。

ドイツのインターネットインキュベーター Rocket Internet によって立ち上げられた ZALORA は、2012年に約95億円の損失を出しながらも、2013年前半にはTengelmann Groupなどより約26億円、100億円と立て続けに資金調達を進め、2013年末には Scopia Capital、Access Industriesなどよりさらに約112億円を調達した。

ZALORA は小規模事業者向けに販売プラットフォームを提供するサービスも2014年1月からインドネシア、フィリピン、ベトナムで始めている。

ZALORA 関連記事 :
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ファッションEC ZALORAがインドネシアで即日配送とリワードを開始
ファッションEC事例「ZALORA」 – アジア8カ国の商品価格帯

 

14. Carousell

carousell

Carousell は2012年にローンチしたモバイルベースのCtoCマーケットプレイス。2013年末に8,000万円ほどのシードファンディングを楽天ベンチャーズなどから受け、マレーシアとインドネシアへの展開を進めている。

Carousell が参入した二次流通 (中古) 市場は思ったよりも有望で、2013年末には取り扱い商品数を50万点まで増やしている。ユーザーのサービスへの依存度は高く、日に平均10回アプリを立ち上げて25分ほど利用すると共同創業者は語っている。

サービスはモバイルアプリのみでの提供だが、Her World (herworldPLUS) と提携して運営している SheShops Marketplace やクラシファイドサイト STClassifieds では、PCブラウザ上でも商品を提供している。

Carousell の競合サービス Duriana 関連記事 :
シンガポール発の位置情報ベースのフリマアプリ「Duriana」とは

 

15. Lazada

lazada

Ladazaは既にベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、そしてタイでアマゾンクローンを展開し、2014年第一四半期には総訪問者数約8,000万 (前年同期比41%増加) を誇る東南アジアを代表するBtoCマーケットプレイス。

2014年5月に満を持してシンガポールサイトをローンチさせた。Lazada は上記 Zalora と同様に Rocket Internet の肝煎りによってスタートしたサービスで当初より資金に余裕があったため、シンガポールは後回しにして周辺国から事業を開始しており、通常のスタートアップとは一線を画す存在。

2013年より小規模事業者向けに販売の場として Lazada のプラットフォームを提供するMarketplaceをマレーシア、ベトナム、インドネシア、タイ、フィリピンで始めるなど、東南アジアECの覇者としての地位を確立してきている。

 

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出典 :  14 popular ecommerce sites in Singapore – Tech in Asia

 

楽天がシンガポールで正式にサービスを開始 – アジア展開5カ国目

オンラインショッピング好きのシンガポール人にもう一つの選択肢が増えました。楽天が公式にシンガポールでサービスを開始したと発表しました。マレーシアやインドネシア、タイでも実施している楽天スーパーポイントのリワードプ …

楽天がシンガポールで正式にサービスを開始 - アジア展開5カ国目 1

オンラインショッピング好きのシンガポール人にまた一つの選択肢が増えました。日本の楽天が公式にシンガポールでサービスを開始したとFacebookページで発表しました。

マレーシアやインドネシア、タイでも実施している楽天スーパーポイントのリワードプログラムも同時に開始しています。

楽天のシンガポールEC市場参入の目的とは」にて、シンガポールEC市場への参入計画と、その方法の是非について書きました。そこでは、扱う商品を「中間価格帯の多様な日本のファッション商品、日本でしか買えない限定物など」を取り揃えるとありましたが、現時点ではあまり集まっていないように見えます。

ファッション関連商品では、日本 (おそらく?) の数ブランドとRakuten DIRECT とある楽天が直接セレクトした商品が主で、その他にも韓国系や中国系、欧米ブランドの直輸入のようなお店はありますが、やはり有名どころを連れくるのはなかなか難しいのでしょうか。

シンガポールでの楽天の投資活動は活発です。今年後半だけで、9月に多言語字幕動画視聴サービス Viki を2億USドルで買収、11月にモバイルマーケットプレイスの Carousell に、そして今月12月にモバイル決済サービスの Coda Payments に投資しています。

東南アジアは、Rocket Internet はもとより、Amazon、eBay、Qoo10などのECプラットフォーム大手、そして中国のタオバオも狙っている市場です。楽天はシンガポールを中心に、どのような競争優位性も持つのか興味深いところです。

 

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出典 :
Japanese e-commerce site Rakuten opens shop in Singapore – Tech in Asia
Rakuten | CrunchBase Profile – CrunchBase

 

楽天のシンガポールEC市場参入の目的とは

東南アジアのEC市場が飛躍的に拡大するにはまだ時間がかかる 楽天が2013年内にシンガポールEC市場への参入を計画。楽天は先行してタイ、インドネシア、マレーシアのEC市場には既に参入していて売り上げは順調に伸びて …

東南アジアのEC市場が飛躍的に拡大するにはまだ時間がかかる

楽天が2013年内にシンガポールEC市場への参入を計画しています。楽天は先行して、タイ、インドネシア、マレーシアのEC市場には既に参入していて売り上げは順調に伸びてきているようですが、まだ、「物流インフラやインターネット環境、パソコンや携帯電話の普及環境などから、爆発的に拡大するのはまだ時間がかかる」とみているようです。

NNA.ASIAの記事によると、楽天はシンガポールEC市場について、以下の通り認識しています。

  • シンガポールのEC市場は急拡大している。例えば、シンガポールの大手ECサイト、Qoo10 (キューテン) の2012年の売上は前年比2.6倍の9,100万シンガポールドル (約70億円) に伸び、さらに2013年の月間平均売上は1,100万シンガポールドルを記録する勢い (月間平均売上×12で年間売上を計算すると、1億3,200万シンガポールドル)。
  • 楽天アジアの担当者は「現状のEC市場の規模は、東南アジア域内ではシンガポールが最大とみている。競争は激しいが、5年間でナンバーワンの地位を確立したい」と話している。

シンガポールのBtoC EC市場規模としては、「シンガポールEC市場規模とモバイルコマースの可能性」より、2010年で11億シンガポールドル、そして2015年には44億シンガポールドルになると予想されていますので、一次関数的に伸びていくと仮定すると、2013年の市場規模は32億シンガポールドル (2,500億円) ほどになります。日本の2012年のBtoC EC市場規模10兆2,000億円 (出典 :  野村総研) と比較してもまだ2.5%ほどに過ぎません。

市場の内訳としては、旅行関連 (航空券・ホテル予約) が3割ほど占めているので (2010年時点) 、純粋に物販の市場としてはもっと小さいでしょう。Qoo10の2013年の売上予想は、1億3,200万シンガポールドル、日本円で約103億円ですが、彼らは一EC事業者ではなく、あくまで楽天と同じプラットフォーマーなので、もっと売り上げ規模は欲しいところです。

 

楽天シンガポールの日本関連商品重視の政策は成功するのか

同じくNNA.ASIAの記事によると、楽天は、シンガポールでのECプラットフォームを始めるにあたって、以下の通り発表しています。

  • 2015年のASEAN内関税撤廃を見据えて、シンガポールを起点に周辺国への効率的な配送網を構築
  • 商品数は5,000種程度から開始したい
  • 扱う商品は、日本の衣料品、アニメ関連品、デジタル機器、漫画などの書籍、海外からの旅行者が日本で好んで購入する菓子類など
  • 中間価格帯の多様な日本のファッション商品、日本でしか買えない限定物など、他のECサイトにはない品揃え
  • フランフランやカシオも出店
  • シンガポール企業などの出店も促すが、まずは日本製品を充実させる方針

「シンガポールを起点に周辺国への効率的な配送網を構築する」ことは全く正しいと感じるのですが、扱う商品を日本関連商品にすることにどれだけの意味があるかは疑問です。

現時点で、シンガポールEC市場規模が「東南アジア域内では最大」と見られているとはいえ、その数倍、数十倍の人口を抱える東南アジア周辺国がそのうち台頭してくることは想像に難くありません。今のうちに、この大きそうで実は小さい市場で、日本商品のテストをするという意図があるのでしょうか。

 

日本の商品だから売れるのか、売れている商品が日本の商品なのか

越境ECで実績のある企業の方が以前仰っていたことが印象深かったのですが、「日本の商品だから売れる訳ではなく、売れてる商品がたまたま日本の商品だった」ということを理解せずに日本の商品を前面に出すことが多いと感じます。台湾ならまだしもシンガポールでは相当ニッチな市場しかおさえられないと考えられます。

ただし、シンガポールEC市場規模は飛躍的には伸びないという前提で、今後拡大するであろう東南アジア周辺国で何が売れるのかのテスト市場として様子を見るという意味では、意義のある政策ではないかと思います。

 

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出典 :  楽天がネット通販、周辺国に続き参入 – NNA.ASIA

楽天台湾が合弁解消後に進む先 – 画像共有ファッションSNSを開始

楽天台湾は、合弁解消後の新たなサービスとして、ファッションSNS ‘O SHa’Re時尚分享網’ の立ち上げを発表しました。しかし、サービスの内容としては、よくある画像共有系のSNSで周回遅れのような感があります …

楽天台湾が合弁解消後に進む先 - 画像共有ファッションSNSを開始 1

楽天は今月、2008年から5年間続いた台湾の統一超商グループ (台湾や上海でセブンイレブンを展開している台湾最大の小売企業) との合弁を解消すると、台湾の中時電子が伝えました。楽天は合弁相手の出資分49%を買取り、今後、楽天台湾は楽天日本の100%小会社となります。ちなみに、楽天台湾の資本金は5.54億台湾ドル (約18.3億円、1台湾ドル = 3.3円で算出) です。

楽天は今年既にインドネシアでの合弁も解消しています。今回の台湾と続いてはいますが、両市場とも業績が悪いからというよりは、独自路線を貫きたい楽天と合弁相手との摩擦が相当強かったのではと考えています。また、統一超商グループは台湾版アマゾンと言われる ‘博客來‘ にも出資しており、楽天が今後力を入れたい電子書籍の分野で一番の競合であるということも関係しているのかもしれません。

 

加速する楽天の独自路線、しかし

楽天台湾は、合弁解消後の新たなサービスとして、ファッションSNS ‘O SHa’Re時尚分享網‘ の立ち上げを発表しました。しかし、サービスの内容としては、よくある画像共有系のSNSで周回遅れのような感があります。

また、日経ビジネスオンラインの記事では、’アパレルECサービス’を開始すると書かれていますが、ウェブサイトを見る限り今現在商品を購入できる機能はありません。ただ、シンガポールの’Clozette‘と提携しているとのことで、先方の画像認識技術を使えるのであれば、今後、楽天台湾内の商品とのひも付けができるかもしれません。

合弁の足枷を外した後、こうした独自の取り組みが加速していくのだと思いますが、台湾での楽天のポジションを考えた時に、もっと振り切ったサービスにしていかないと意味が無いでしょう。

楽天台湾が合弁解消後に進む先 - 画像共有ファッションSNSを開始 2

 

楽天台湾の今後の進む先

楽天台湾が今後進む先の一つのアイデアとしては、モバイルファーストに舵を切ることです。特に今回の’O SHa’Re時尚分享網‘とモバイルの相性は極めて高いですし、同サービスと楽天台湾と連携させることで、スマートフォン普及率の高い台湾では一気にモバイルコマース市場が立ち上がる可能性があります。

楽天台湾、成長の鍵を握る3つの分野とは」にある通り、楽天台湾が力を入れている分野は、食品、ファッション、そして、電子書籍です。既に電子書籍の取り組みは現地で進めているかと思いますが、koboの販売などタブレット端末が主戦場になります。ファッション関連では、FashionGuideやiStyle365愛尚網などいくつかサービスはありますが、いずれもモバイルアプリに最適化されておらず、食品同様、モバイル分野には強力な敵がいません。

台湾モバイルユーザーの約8割が1年以内にモバイルコマースを利用」で台湾モバイルコマース市場の拡大が予想されているものの、実際にはYahoo!やPChomeという二大ECモールが本格的にモバイルファーストに舵を切らないと、なかなか市場が立ち上がらないのが現状だと思います。

これら二強に追い付くためには、楽天はウェブでありきたりのサービスを行うのではなく、彼らに先んじて一気にモバイルに集中すべきではないでしょうか。

 

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出典 :
台灣樂天 引進集團服務 – 中時電子報
統一超商と合弁解消した楽天、台湾でアパレルECサービス「OSHa’Re」開始へ
– 日経ビジネスオンライン