昨日「東南アジアのネット&スマホビジネスの最新&リアル事情」と題したイベント・セミナーに参加しました。現地に根付いた方々の生の情報を得る良い機会でした。イベントの概要は以下の通りです。
成長著しい東南アジア。2015年にはASEANが統合され、AECという経済共同圏が誕生し、合計6億人規模の市場になると言われています。インターネット、スマホ関連ビジネスも急激に進化しています。
今回はインドネシア、タイ、ベトナムなどでインターネット事業を行っている会社、現地企業へ投資を行なっている会社の方々に登壇いただき (帰国タイミングが揃うのは稀!)、リアルな東南アジアのネット&スマホサービスについて情報のシェア、議論を行なっていただきます。
以下はタイとインドネシアでのインターネット関連の現状などについてのメモです。
タイ
- 銀行口座数は8,000万口座、クレジットカード枚数は1,500〜2,000万人で普及率は約20%
- オンライン決済では2C2Pが多く使われている、キャリア課金も増えてきている
- App Storeでもっとも高い売上はLine Storeの4,000 〜 5,000万円/月、東南アジア圏のアプリ市場の中ではタイが一番規模が大きい
- 2012年以降キャリアの意向もあり、携帯電話契約はプリペイドからポストペイドへ移行してきている
- 携帯電話料金は定額料金が普及してきている
- 好きなキャラクターについてアンケートしたところ、日本のキャラクターに限定していないにも関わらず、ドラえもん、ハローキティ、リラックマが上位3位を抑えるほど、日本のキャラクターへの関心度が高い
タイに関しては、「タイのインターネット・モバイル・スマートフォン事情」と「楽天タイランドとタイEC市場の現状」でも触れています。
「アジアにおけるモバイル (スマートフォン) コマースの実情」にある通り、タイのスマートフォン普及率は際立って高いというわけではないので、アプリ市場にもまだまだ伸びしろがあります。また、携帯電話契約のポストペイド化や定額料金が今後普及していくことを考えると実に有望な市場と言えるでしょう。
インドネシア
- インドネシアのインターネットユーザー数は5,500万人、普及率は23%
- 一般家庭向けインターネット接続料金は高額、インターネット接続のほとんどはオフィスかネットカフェかモバイル
- オンラインゲームのアクセスの8割がネットカフェから、ネットカフェはほとんどゲームセンターとなっている
- 携帯電話の回線は3Gと謳ってはいるが速度が遅い
- 主なB2C EC事業者は、 BHINNEKA.com 、 blibli.com 、 dinomarket 、 Lazada 、 Zalora 、 bilna 、 Berrybenka など
- 主なブログサービスは、Blogspot と Blogger
- 現状ECのウィークポイントは決済、銀行振込 (ネットバンキングではない) が主流
- COD (Cash on Delivery / 代金引き換え払い) は、販売と物流が結託した詐欺などもあり、決済には銀行振込を選択するケースが多い
- ジャカルタ周辺はクルマの渋滞がひどく、商品配送はバイク便の方が有効
- 現地でNo.1のECサイト (Tokopediaか?) の流通総額は300万USドル / 月
- Facebookページ経由でカスタマイズしたTシャツを販売するなど、Facebookで直接商品を販売して月に数百万円稼ぐケースもある
- アンドロイドOSの端末は2013年末までに1,000万台を越えると予想されている
- Lineが好調、キャラクターを全面に打ち出す手法が当たっている、現地では海賊版が出るほどキャラクターが人気になっている
インドネシアのインターネットユーザー数は、「インドネシアのネットユーザー数は数年以内に日本を上回るだろう」にて、2013年で7,270万人 (普及率29%) とeMarketerでは予測されているので、上記が最新のデータであるかどうか気になります。
一般家庭におけるインターネット接続が高額で、ブロードバンド回線含めてなかなか浸透せず、PC利用は専らオフィスかネットカフェという環境は以前から変わっていないようです。インターネットユーザーの大半が格安スマートフォン・タブレット端末経由という状況に今後なるのかもしれません。
タイと同様にキャラクタービジネスに勝機がありそうだというのが興味深いです。Lineはインドネシアでも大きな影響力を持っています。
アフィリエイトプログラム
- インタースペース社がアクセストレードをインドネシアで開始
- マレーシアでは40代以上でもインターネットで商品を買う
- 東南アジアを市場としたインターネット・モバイル事業の参入時期はまだ早いが、ECについては各国プレイヤーが揃ってきている
日系のアフィリエイトプログラム事業者がインドネシア市場に参入していることが驚きです。
東南アジアはEC市場規模がまだまだ小さいものの将来的に伸びることは確実なため、それなりの資金力を持ったECのプレイヤーが既にいます。メディア側が不十分な感は否めませんが、アフィリエイトプログラムという現地では新鮮なCPA広告はEC市場発展に大きく寄与するのではないかと思います。
【2013年10月14日 追記】
アフィリエイトプログラム事業者のインドネシア市場参入について、「インドネシアにおけるアフィリエイトプログラムの可能性」を参照ください。
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