楽天は今月、2008年から5年間続いた台湾の統一超商グループ (台湾や上海でセブンイレブンを展開している台湾最大の小売企業) との合弁を解消すると、台湾の中時電子が伝えました。楽天は合弁相手の出資分49%を買取り、今後、楽天台湾は楽天日本の100%小会社となります。ちなみに、楽天台湾の資本金は5.54億台湾ドル (約18.3億円、1台湾ドル = 3.3円で算出) です。
楽天は今年既にインドネシアでの合弁も解消しています。今回の台湾と続いてはいますが、両市場とも業績が悪いからというよりは、独自路線を貫きたい楽天と合弁相手との摩擦が相当強かったのではと考えています。また、統一超商グループは台湾版アマゾンと言われる ‘博客來‘ にも出資しており、楽天が今後力を入れたい電子書籍の分野で一番の競合であるということも関係しているのかもしれません。
加速する楽天の独自路線、しかし
楽天台湾は、合弁解消後の新たなサービスとして、ファッションSNS ‘O SHa’Re時尚分享網‘ の立ち上げを発表しました。しかし、サービスの内容としては、よくある画像共有系のSNSで周回遅れのような感があります。
また、日経ビジネスオンラインの記事では、’アパレルECサービス’を開始すると書かれていますが、ウェブサイトを見る限り今現在商品を購入できる機能はありません。ただ、シンガポールの’Clozette‘と提携しているとのことで、先方の画像認識技術を使えるのであれば、今後、楽天台湾内の商品とのひも付けができるかもしれません。
合弁の足枷を外した後、こうした独自の取り組みが加速していくのだと思いますが、台湾での楽天のポジションを考えた時に、もっと振り切ったサービスにしていかないと意味が無いでしょう。
楽天台湾の今後の進む先
楽天台湾が今後進む先の一つのアイデアとしては、モバイルファーストに舵を切ることです。特に今回の’O SHa’Re時尚分享網‘とモバイルの相性は極めて高いですし、同サービスと楽天台湾と連携させることで、スマートフォン普及率の高い台湾では一気にモバイルコマース市場が立ち上がる可能性があります。
「楽天台湾、成長の鍵を握る3つの分野とは」にある通り、楽天台湾が力を入れている分野は、食品、ファッション、そして、電子書籍です。既に電子書籍の取り組みは現地で進めているかと思いますが、koboの販売などタブレット端末が主戦場になります。ファッション関連では、FashionGuideやiStyle365愛尚網などいくつかサービスはありますが、いずれもモバイルアプリに最適化されておらず、食品同様、モバイル分野には強力な敵がいません。
「台湾モバイルユーザーの約8割が1年以内にモバイルコマースを利用」で台湾モバイルコマース市場の拡大が予想されているものの、実際にはYahoo!やPChomeという二大ECモールが本格的にモバイルファーストに舵を切らないと、なかなか市場が立ち上がらないのが現状だと思います。
これら二強に追い付くためには、楽天はウェブでありきたりのサービスを行うのではなく、彼らに先んじて一気にモバイルに集中すべきではないでしょうか。
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出典 :
台灣樂天 引進集團服務 – 中時電子報
統一超商と合弁解消した楽天、台湾でアパレルECサービス「OSHa’Re」開始へ
– 日経ビジネスオンライン