楽天のシンガポールEC市場参入の目的とは

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東南アジアのEC市場が飛躍的に拡大するにはまだ時間がかかる

楽天が2013年内にシンガポールEC市場への参入を計画しています。楽天は先行して、タイ、インドネシア、マレーシアのEC市場には既に参入していて売り上げは順調に伸びてきているようですが、まだ、「物流インフラやインターネット環境、パソコンや携帯電話の普及環境などから、爆発的に拡大するのはまだ時間がかかる」とみているようです。

NNA.ASIAの記事によると、楽天はシンガポールEC市場について、以下の通り認識しています。

  • シンガポールのEC市場は急拡大している。例えば、シンガポールの大手ECサイト、Qoo10 (キューテン) の2012年の売上は前年比2.6倍の9,100万シンガポールドル (約70億円) に伸び、さらに2013年の月間平均売上は1,100万シンガポールドルを記録する勢い (月間平均売上×12で年間売上を計算すると、1億3,200万シンガポールドル)。
  • 楽天アジアの担当者は「現状のEC市場の規模は、東南アジア域内ではシンガポールが最大とみている。競争は激しいが、5年間でナンバーワンの地位を確立したい」と話している。

シンガポールのBtoC EC市場規模としては、「シンガポールEC市場規模とモバイルコマースの可能性」より、2010年で11億シンガポールドル、そして2015年には44億シンガポールドルになると予想されていますので、一次関数的に伸びていくと仮定すると、2013年の市場規模は32億シンガポールドル (2,500億円) ほどになります。日本の2012年のBtoC EC市場規模10兆2,000億円 (出典 :  野村総研) と比較してもまだ2.5%ほどに過ぎません。

市場の内訳としては、旅行関連 (航空券・ホテル予約) が3割ほど占めているので (2010年時点) 、純粋に物販の市場としてはもっと小さいでしょう。Qoo10の2013年の売上予想は、1億3,200万シンガポールドル、日本円で約103億円ですが、彼らは一EC事業者ではなく、あくまで楽天と同じプラットフォーマーなので、もっと売り上げ規模は欲しいところです。

 

楽天シンガポールの日本関連商品重視の政策は成功するのか

同じくNNA.ASIAの記事によると、楽天は、シンガポールでのECプラットフォームを始めるにあたって、以下の通り発表しています。

  • 2015年のASEAN内関税撤廃を見据えて、シンガポールを起点に周辺国への効率的な配送網を構築
  • 商品数は5,000種程度から開始したい
  • 扱う商品は、日本の衣料品、アニメ関連品、デジタル機器、漫画などの書籍、海外からの旅行者が日本で好んで購入する菓子類など
  • 中間価格帯の多様な日本のファッション商品、日本でしか買えない限定物など、他のECサイトにはない品揃え
  • フランフランやカシオも出店
  • シンガポール企業などの出店も促すが、まずは日本製品を充実させる方針

「シンガポールを起点に周辺国への効率的な配送網を構築する」ことは全く正しいと感じるのですが、扱う商品を日本関連商品にすることにどれだけの意味があるかは疑問です。

現時点で、シンガポールEC市場規模が「東南アジア域内では最大」と見られているとはいえ、その数倍、数十倍の人口を抱える東南アジア周辺国がそのうち台頭してくることは想像に難くありません。今のうちに、この大きそうで実は小さい市場で、日本商品のテストをするという意図があるのでしょうか。

 

日本の商品だから売れるのか、売れている商品が日本の商品なのか

越境ECで実績のある企業の方が以前仰っていたことが印象深かったのですが、「日本の商品だから売れる訳ではなく、売れてる商品がたまたま日本の商品だった」ということを理解せずに日本の商品を前面に出すことが多いと感じます。台湾ならまだしもシンガポールでは相当ニッチな市場しかおさえられないと考えられます。

ただし、シンガポールEC市場規模は飛躍的には伸びないという前提で、今後拡大するであろう東南アジア周辺国で何が売れるのかのテスト市場として様子を見るという意味では、意義のある政策ではないかと思います。

 

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出典 :  楽天がネット通販、周辺国に続き参入 – NNA.ASIA

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