楽天が選んだアジアの進出先マレーシア EC参入の2つの考え方

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楽天が選んだアジアの進出先マレーシア EC参入の2つの考え方

2012年5月24日の日本経済新聞によると、楽天がEコマース (EC) 事業でマレーシアへの参入を決めたと発表しました。今回は、買収や合弁会社設立ではなく単独で参入し、今年後半にもサービスを開始するそうです。

楽天のアジアでのEコマースモール事業としては、台湾、中国、タイ、インドネシアに続いて5カ国目。中国からは既に撤退を表明しているので (5月末終了)、実質4カ国で展開することになります。

マレーシアを選んだ理由としては、2011年の実質GDP成長率が5.1% (統計局) と比較的高く、インターネット利用率が約6割 (2011年 Euromonitor International) ありEコマース・ネット通販の市場成長が見込めると判断したからとのことです。

マレーシアは、日本の国土面積とほぼ同じ (日本の0.9倍) で、人口が約2,900万人 (2010年 統計局)、首都クアラルンプールの人口は約166万人 (2010年) です。人口を民族別にみると、マレー系 (66%)、中国系 (約25%)、インド系 (約8%) で構成されています。

以前の記事「アパレル・ファッションECにおけるマレーシアという市場」では、”ファッションへの感度の高いマレー人”に注目しマレーシアについてのファッションEコマースの可能性を少し考えました。

マレーシアの一人口当たりGDPは、日本や日本とほぼ同じシンガポールと比較すると2割弱 (「アジア向け事業でのFacebook活用のすすめ」を参照) で全体としてはまだまだ可処分所得は低く、また、マレーシア内でもマレー人と華人との間に平均収入には差があったりします。例えば、クアラルンプールなど都市部の独身のOLにターゲットを絞りこむなどの対処は必要になるかとは思いますが、今後の経済成長に連れマレーシアはファッション関連の市場として魅力的になってくるのではないでしょうか。

上記の通り、まだ中間層の可処分所得は低いため、価格についてはシビアなようです。

アパレルウェブの1年前の記事によると、マレーシアの “国民1人あたりの被服・履物の年間消費支出額” は約10,000円と算出されています。シンガポールが約58,000円、タイが約21,000円、インドネシアが約6,000円、そして日本は約68,000円とありますので日本の約1/7になります。現地で店舗展開しているローカルSPAが中間層を握っており、アパレル・靴の商品単価は2,000円ほどです。

 

アパレル・ファッションEコマース参入のアプローチ方法

市場参入時に狙うべき層の最有力は、中国系・華人の流行に敏感な層です。比較的可処分所得が高いため、中間層のなかの上まで取り込めれば商品単価も上げることができます。

ただ、マレーシアでのファッションビジネスに詳しい方にお聞きすると、日本のファッションをそのまま持っていった場合、ごく一部のアーリーアダプターには受け入れられるかもしれませんが、色彩感覚が日本とは全く異なる点をよく理解した方が良い、とのアドバイスをいただきました。先ずは中国系の中でもファッション感度の高い層にアプローチし惹き付け、それを見たマレー系が追随する仕組みを考えることが重要になります。

もう一つの考え方としては、マレーシアにおけるマスであるマレー人を対象としたイスラムファッション市場への参入です。これはプロダクトやデザインなどもかなりローカライズする必要があると思いますが、イスラムファッション市場は全世界で7兆円 (大半は中東とは思いますが) と言われる市場規模が既にあり、世界中のデザイナーが参入を目指している市場でもあります。

マレーシアの観光相が昨年 “マレーシアはイスラムファッションの世界的なハブを目指している” とも発言しています。日本にはあまり聞こえてきませんが、世界の人口の2割以上を占めるイスラム信徒の市場は、海外進出を考える上で無視は出来ないのではないでしょうか。

アジアと一言でいっても、国、民族、宗教などで多種多様に細分化された市場があります。中国などはさらに地域、年代などによっても大きく価値観が変わるため、一概にアジアでは … と大きく捉えるのはあまりに大雑把過ぎるというのが現状です。現在、本コラムで深堀りしている国は、まだ今回のマレーシアと台湾だけなのですが、今後、さらにタイやインドネシアなども視野に入れていこうと考えています。

 

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出典 :
ジェトロ、外務省
ASEANにおける進出第2候補のマーケット「クアラルンプール」 – アパレルウェブ
マレーシア イスラムファッションの拠点へ – SankeiBiz

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