東南アジアでも当然Eコマース (以下EC) の主戦場はモバイルである。マレーシアでもシンガポールでも、元々ウェブ主体のECのほとんどがモバイルアプリ (iOSよりもアンドロイドが主流) を展開している。そして、現在、モバイル最適化が特徴的なC2C (またはCtoC) マーケットプレイスアプリ (所謂フリマアプリ) のプレイヤーが非常に注目されている。
【Google Play Store – Shopping ranking in Malaysia】
C2Cマーケットプレイスのプレイヤーは基本的にサービスのUXをモバイルアプリに最適化させている。Carousell、Shopee、Duriana、SnapSellらのように全カテゴリ対応するサービスの他にもファッションに特化しているReebonzやClosetStylesなどのサービスがある。
ウェブ時代からの強豪であるLelong.myやGumtree、eBayもモバイルアプリを出している。また、シンガポール最大のBtoCマーケットプレイスのQoo10もアプリを出しており、C2Cのように個人で登録して商品を売ることができる (出品はウェブからのみ)。
このように新旧のモバイルアプリ・ウェブ、そして、BtoCと見られるマーケットプレイスでも個人販売ができるなどサービスがひしめき合っているのが、マレーシア・シンガポールのC2Cマーケットプレイス事業の現状である。
今後、全カテゴリに対応しモバイルアプリに最適化されたサービスの中で1、2社は生き残るだろう。今のところCarousellとShopeeが優勢な状況で、モバイルに最適化し切れないウェブ主体のサービスは彼らに勝つことは出来ない。また、彼らと競争するために今から参入するのは遅い、というのも現地での意見だ。
このような現状で参加しているプレイヤーはどうすれば勝てるのか?一つはカテゴリ特化型 (Vertical market) で突き抜けること、サービスにストーリーがあり将来横展開が可能な分野であれば可能性が高いだろう。
しかし、シンガポール・マレーシアなど人口の少ない国では満足のする規模にまでスケールしないことが見えてくる。そこで、クロスボーダーの取引をサービス内に取り入れることが必要となる。
東南アジアで苦労する決済と物流のうち、決済は現地オンラインモールのように商品代引き (COD) 決済をメインにして現地固有の決済方法をある程度揃えればなんとかなるが物流、特に国際物流はさらなる工夫が必要だ。AlibabaがSingPostの第2位株主になるなど、東南アジア間に限らず中国なども含めたクロスボーダー取引の整備は進んでいるように見える。
CarousellやShopeeは、シンガポール・マレーシア以外にもインドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン、台湾などにも進出しており、前述のAlibabaが運営するTaobaoも中国を中心に既にクロスボーダー取引を実施している。圧倒的なスケールが必要なモデルであるC2Cマーケットプレイス事業では、今後は各国内だけでの点の競争ではなく、多国間の面での競争になるだろう。
出典 : Top Malaysia e-commerce trends in year 2015 – eCommerceMILO | December 30, 2015