ファッションECサイト ZALORA のタイEC市場での動向

ファッションECのZALORAはタイでローンチから2年に達し訪問数も順調に伸びてきています。ZALORAはマレーシア、シンガポール、香港、フィリピン、ベトナム、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランドでEC …

 

ファッションECサイト ZALORA のタイEC市場での動向 1

 

ファッションEC の ZALORA はタイでのローンチから2年に達し訪問数も月間200万と順調に伸びてきている。ZALORA はタイ以外にもマレーシア、シンガポール、ブルネイ、香港、フィリピン、ベトナム、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランドでECを展開しているが、今回は、タイの ZALORA の動向について、現地のカントリーマネージャーへのインタビュー記事をみていきたい。

 

モバイルコマースへのフォーカス

ZALORA は以前まで、Facebookや検索エンジンマーケティングなどウェブ上でのマーケティング活動を中心にしていたが、全体の売上の45%がモバイルデバイス経由 (モバイルウェブ・アプリ両方) であることから、今年 (2014年) からモバイルコマースへのフォーカスにシフトしている。

タイで2,400万ユーザーを持つアプリLineと提携し、Line Hot Dealsを活用したフラッシュセールなども実施したり、通信会社Dtacのユーザーにスペシャルディスカウントの提案をするなどの施策を行っている。

 

コンビニ受け取りの開始

ZALORA は、今年からタイで7,200店舗ある7-11での商品受け取りの配送オプションを始めた。しかし、当初は、7-11での商品受け取りは出来たものの支払いまでは出来ず、また、タイではEC利用者の70%が支払い方法として商品代引き (COD) を望んでいることもあり、あまり使われなかったようだ。その後、コンビニでの支払いも可能となった。

ロケットインターネット投資で急成長のZaloraとLazada」にある通り、ZALORA はタイに限らず決済方法として商品代引きを薦めているが (同じくロケットインターネット投資先の LAZADA も方針が同じ)、コンビニのインフラを使うことでさらに利便性が上がっていくと考えられる。

 

独自ブランド「EZRA」とマーケットプレイスの展開

ZALORA は独自ファッションレーベルである「EZRA」を昨年 (2013年) シンガポールからスタートさせたが、現在タイでも展開している。既に売上全体の25%ほどを占めるほどの規模になってきており、他の市場でも同じようなトレンドとのことだ。EZRA (338 ※) 以外にも ZALORA (149 ※) もしくは、ZALORA BASICS (24 ※) と独自ブランドらしきものがあるが、上記パーセンテージがどこまでを含めているかは不明。
※ (  ) 内は掲載商品数

ZALORA タイはサードパーティーマーチャント向けに「ZALORA MARKETPLACE」も開始している。小規模ブランドでもZALORA内に自分のお店が持てる仕組みだが、ブランドの質の維持を図るためにZALORA側で申込者の事前選別を行っている。販売コミッションは25%で現在70社が参加している。

 

新規購入者をどのように増やすか

タイを含めた東南アジアでのEC事業者の最も考えるべきは、新規購入者をどのように増やすか、ということ。いくつか ZALORA タイが行ってきた施策を上記で紹介してきたが、それぞれが新規購入者を増やすことに繋がっている。

皆が所有しているわけではないPCではなく、単価や安く (アンドロイド / Android) 爆発的に普及しているモバイルデバイスに注力することや、コンビニ受け取り・支払いで物流と決済のハードルを下げること、独自ブランドとマーケットプレイスで商品セレクションを増やすなどの施策に追加して、大規模な広告展開も必要になる場合もあるが、方向としては正しいのではないだろうか。

東南アジアEC市場に関する20の真実」にもある通り、東南アジアの各国のEC化率は1%以下であり、東南アジアの中でも小売業市場の大きいタイのEC市場は特にポテンシャルがある。ただ、このパーセンテージを上げるためにも上記施策を含めた新規購入者を増やすことは常に念頭に置くべきだろう。

 

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出典 :
6 tactics Zalora is using to beat the fashion ecommerce competition – Tech in Asia
ZALORA Thailand

 

ロケットインターネット投資で急成長のZaloraとLazada

ロケットインターネット (Rocket Internet) が年末までにIPO実施の計画を進めている。ロケットインターネットの使命は、米国・中国以外で世界最大のインターネットプラットフォームを創…

 

Ahead of Rocket Internet IPO, here are the numbers on its Southeast Asian ecommerce stores 1

ロケットインターネット (Rocket Internet) が2014年末までにIPO実施の計画を進めている。

ロケットインターネットの使命は、米国・中国以外で世界最大のインターネットプラットフォームを創り出すことである。アジアにおいて同社はシンガポールからミャンマー、インドネシア、インドに至るまで様々なスタートアップへ投資・運営をしている。

ロケットインターネットの東南アジアにおけるポートフォリオには、Zalora、Lazada、Carmudi、FoodPandaなど、消費者にとって馴染みのあるBtoCサービスも含まれている。この中でアジアで急成長しているECプラットフォームである Zalora と Lazada について注目したい。

 

Ahead of Rocket Internet IPO, here are the numbers on its Southeast Asian ecommerce stores 2

ZaloraはファッションECのプラットフォームであり、東南アジア6カ国 (人口約5億3,300万人) で展開し現地店舗を構えている国もある。Nike、Levis、Aldo、Mangoなど世界的なブランドの他にプライベートブランドとそれぞれの国で現地ブランドを販売している。

Zaloraはオンライン広告はもちろんだが、存在感のあるオフラインでのイベントや屋外広告なども展開している。初年度である2012年にZaloraは9,500万USドルの損失を計上したが、2015年までに黒字転換する予定だ。2013年までにZaloraは160万の登録ユーザーを獲得している。

ユーザーの約70%は女性で主な年齢層は18~35歳である。現時点の月間訪問数は1,700万、Facebookページのファン数が480万、ニュースレター購読者が600万おり、トラフィックの33%はモバイル端末からである。

売上の3分の1は自社プライベートブランドの商品であり、Zaloraは東南アジア一帯に7つの倉庫を構え、平均配送期間は2日である。また、購入者の90%は商品代引き (COD) での支払いを希望している。

Zaloraは、Rocket InternetやKinnevikの他にも、Summit Partners、Verlinvest、JP Morganなど数社からの支援も受けている。

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Ahead of Rocket Internet IPO, here are the numbers on its Southeast Asian ecommerce stores 3

Lazadaは総合的な品揃えのECプラットフォーム、2012年2月にローンチし、香港、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、シンガポール、マレーシアに展開している。

Lazadaは東南アジアで最大のEC事業者であり、2014年第1四半期で訪問数7,900万、Facebookページのファン数が690万となっている。現在、96万7,000人のアクティブなユーザーがおり (購買ユーザーという意味か?) 、トラフィックの35%はモバイル端末からである。

ECプラットフォームには2,000以上のアクティブセラーがおり、商品品揃えの充実や価格競争につながっている。Lazadaの売上をカテゴリ別にみると、ライフスタイル関連が39%、電子機器が38%、健康・美容関連が14%、ファッション関連が7%を占めている。

Lazadaは2014年にこの地域で急成長しているファッションブランドを買収しLZDという自社プライベートブランドをローンチさせファッション関連カテゴリを成長させるという。

Zaloraと同様、Lazadaの購入者も圧倒的に商品代引き支払いを希望しており、最も好まれているタイでの比率はなんと100%、最も比率の低いインドネシアでも70%が希望している。実際にLazadaで商品を購入してみると、購入プロセスの中で代引き支払いがデフォルトの支払い方法になっているなど、代引きを推している感がある。

Lazadaは、Rocket InternetやKinnevikの他にも、Holtzbrinck Ventures、Tengelmann Ventures、Verlinvest、Summit Partners、Tesco、JP Morganなど数社からの支援を受けている。

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シンガポールでメジャーなECサイト15選
マレーシアECサイト・モールが実際に提供している決済方法とは

 

出典 : Ahead of Rocket Internet IPO, here are the numbers on its Southeast Asian ecommerce stores – Tech in Asia | August 12, 2014

 

米国ファッションECにおけるモバイルシフトに関するデータ

米国ではスマートフォン・タブレットがEコマースの主役になりつつあります。eMarketerによる、米国のアパレル・アクセサリー小売りによるファッションECでのトラフィック(アクセス数)と売上のデータをデバイス別に …

 

米国ではスマートフォン・タブレットがEコマースの主役になりつつあります。

米国ファッションECにおけるモバイルシフトに関するデータ 1

 eMarketerによる、米国のアパレル・アクセサリー小売りによるファッションECでのトラフィック (アクセス数) と売上のデータをデバイス別に見てみると、2012年から2013年にかけて、デスクトップのトラフィックが20%近く落ち、スマートフォンとタブレットが約50%上昇しています。

売上については、デスクトップの落ちは8%ほどですが、スマートフォンとタブレットは60%以上も大きく上昇しています。

2013年でデスクトップのトラフィック比率が59%ですので、おそらく2014年にはスマートフォン・タブレットのモバイルデバイス経由のアクセスが全体の半分を超えるでしょう。

ファッションECの閲覧についてはモバイルデバイス経由がマジョリティになるかと思いますが、売上比率についてはまだ80%がデスクトップ経由ですので、見るのはモバイルデバイス、買うのはデスクトップという購買行動はまだ大きくは変わっていないようです。

ただ、タブレットの売上比率は約15% (スマートフォンの3倍以上) と伸びてきていることから、今後、購買についても特にタブレットの躍進については注目すべきところです。

米国のECにおけるスマートフォン・タブレットの影響は引き続き大きい」にあるケースでは (データ取得月はともに2013年11月)、タブレット・スマートフォン両方で15%、対象を小売り事業者に絞ると18%でしたので、これらのパーセンテージあたりがほぼ平均ではないでしょうか。

米国ファッションECにおけるモバイルシフトに関するデータ 2

モバイルデバイス経由の売上は伸びているものの、まだデスクトップを超えるところまで見えていない理由について、アンケート結果が出ています。

米国のタブレット所有者に、タブレット経由で買い物をしない理由について聞いたのですが、一番が、デスクトップのブラウザほど、まだタブレットでのショッピング体験は追い付いていないこと、次に、決済方法がタブレットに最適化されていないこと、商品画像が小さいこと、と続きます。

これらの理由は、簡単ではないものの改善が無理というものではありません。実際に、ファッション・アクセサリーのフラッシュセール大手 GILT は、スマートフォンとタブレットのショッピング体験を別物として設計し、ユーザーのショッピング体験を満足させています。

タブレットが加速させる米国モバイルコマース市場」にある通り、ファッション関連に限らず、タブレットはモバイルコマース市場を牽引しています。今後さらにどこまで伸びていくかが楽しみです。

 

出典 :  Apparel Shoppers Grab Their Tablets – eMarketer

 

ファッションECの ZALORA が過去半年で200億円以上を調達

東南アジアを中心に多国間で展開しているファッションEC Zaloraは、過去半年で2億1,200万USドル(約218億円)の調達を行いました。今年5月に1億USドルを調達し、そして今回は、1億1,200万USドル …

ファッションECのZaloraが過去半年で200億円以上を調達 1

東南アジアを中心に多国間で展開しているファッションEC ZALORA は、過去半年で、2億1,200万USドル (約218億円) の調達を行いました。

今年 (2013年) 5月に1億USドルを調達し、そして今回は、1億1,200万USドルを米系のファンドAccess IndustriesやScopia Capitalより調達しています。

これらの投資は、ZALORA を東南アジア最大のファッションECとしてのポジションを確立させるとともに、商品セレクションの充実とプライベートブランド EZRA の質の向上に使われるとのことです。

 

出典 :  Zalora manages $212M investment in just six months – e27

2012年日本のEC市場規模は9.5兆円、依然二桁成長を維持

日本のBtoC EC市場規模は、2012年も依然二桁成長し拡大を続けています。経済産業省による調査によると、2012年の日本のBtoC EC市場規模は、前年比12.5%増と二桁の伸びを示し、9兆5,130億円とな …

 

2012年日本のEC市場規模は9.5兆円、依然二桁成長を維持 1

日本のBtoC EC市場規模は、2012年も依然二桁成長し拡大を続けています、との経済産業省の発表は2013年の後半にもなって遅過ぎる感はありますが、とにかくまだ拡大傾向にあることは確かのようです。

同省の調査によると、2012年の日本のBtoC EC市場規模は、前年比12.5%増と二桁の伸びを示し、9兆5,130億円となりました。

業種別にみても全業種が前年を上回っており、特に「衣料・アクセサリー小売業」が対前年比で121.5%と最も高い伸び率です。

全体のECの浸透度を表すEC化率が3.1%となり、対前年比で112.7% (0.3%の上昇) となりました。

EC市場は成長し続け10兆円規模になっているとはいえ、BtoCの事業全体の3%強でしかなく、伸びも0.何パーセントというレベルというのは、そのようなものなのか、もっと努力や工夫が足りないのか、、とはいえ、各業種すべてでEC化率が上昇しているという流れは良いことでしょう。

 

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出典 :  経済産業省のEC市場調査、12年度国内BtoC・市場規模9兆5000億円 – 通販新聞