ヨーロッパのC2Cマーケットプレイス事業・フリマアプリ現状

ヨーロッパのEコマース (以下EC) 環境については、以前「イギリスのファッションEC ASOS にみるスマートフォン戦略」にて、既にモバイルでの売上比率が上がってきている状況を述べたが、C2C…

 

ヨーロッパのEコマース (以下EC) 環境については、以前「イギリスのファッションEC ASOS にみるスマートフォン戦略」にて、既にモバイルでの売上比率が上がってきている状況を少し述べたが、C2C (CtoC) マーケットプレイス事業・フリマアプリの現状はどうなのだろうか。

先ずeMarketerが発表してる2014年のヨーロッパ各国のEC市場シェアを見てみると、ヨーロッパ内では、英国 (United Kingdom) の市場が最大規模で、次にドイツ、フランスと続き、この3カ国で全体の6割ほどを占める。

ヨーロッパと一言でいっても人種や第一言語が異なるため、アジアと同じく一括りで考えることは出来ないが、これら3カ国それぞれである程度のダウンロード数を維持出来ていれば、その後の展開は自ずと進んでいくのではないだろうか。

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ちなみに英国は、「全世界 小売り市場規模・Eコマース市場規模・EC化率」にある通り、世界的に見ても第3位のEC市場規模があり、EC化率は世界一を誇っている。

以下のアプリは、英国・ドイツ・フランスにおけるiOSアプリApp StoreのShoppingカテゴリFree AppsのTop24になるが、その中でC2Cマーケットプレイス・フリマアプリを各国毎に見ていきたい。

 

【英国】
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英国でのC2Cアプリは、1. eBay、3. Shpock、4. Gumtree、12. Depopの4つになる。Top5のうち3つを占めており、既にフリーマーケットのモバイル化は浸透しているようだ。

2位の Shpock (SHop in your POCKet) はオーストリア発のフリマアプリで昨年Schibsted Classified MediaへExit済みのサービス。英国、ドイツ、オーストリアのShoppingカテゴリで1位になった実績があり、ヨーロッパのフリマアプリの代表的な存在といえる。Premium features (In-App Purchases) を購入すれば自らの出品を目立たせることやアプリインストールの広告が表示されているなど、ビジネスモデルは取引時の手数料モデルではなく広告モデルでClassified Ads (三行広告) に近い。

4位のGumtreeは英国ベースで米国のCraigslistと並ぶ老舗Classified Adsサービスで、取引のメインカテゴリとしてクルマや求人、賃貸住宅などが並ぶ。シンガポールでも地下鉄ホームジャック広告を展開するなどアジア圏でも知名度のあるアプリである。

 

【ドイツ】
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ドイツでのC2Cアプリは、1. 4. eBay、2. Shpock、10. Kleiderkreisel (米国/英国ではVinted)の3つになる。eBayとShpockが英国と同様に上位に名を連ねている。

10位のKleiderkreiselはリトアニア発のファッションに絞ったフリマアプリで米国/英国ではVintedの名前で展開している。Forumタブをタブバーの中心に置くコミュニティを重視したアプリで、日本のアプリと同様に決済や配送サポートまで当初から取り入れている (手渡し向けのローカルサーチの機能も併用している)。

 

【フランス】
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フランスでのC2Cアプリは、13. eBayのみと寂しい市場だ。ちなみに1位のAliexpressは中国のAlibabaグループのB2Cプラットフォームのアプリであり英国でも6位と影響力の高さが伺える。

上記3カ国に顔を出しているのはeBayのみだが、よく言われる通りeBayは純粋なC2CというよりはスモールB (小規模事業者) の新品商品の販売場所としても定着しているので、厳密にはフリマアプリとは言えないだろう。

 

米国のフリマアプリOfferUpなどもそうだがヨーロッパもClassified Adsに慣れ親しんでいたせいか、ローカルでのモノの手渡しといった考え方が根強くあるように感じる。フリマアプリには手渡し型・配送型がありそれらのハイブリッド型もあるが、上記のアプリで言うと、手渡し型はShpock、Gumtree、配送型はeBay、ハイブリット型はDepop、Kleiderkreisel (Vinted) に分けられる。

物流・配送が高度に発達した日本では、フリマアプリといえば、購入決済時に手数料があり、その後に配送手続きをすることがほとんどのアプリで当たり前だが、米国・ヨーロッパでは必ずしもそうではない。

しかし、配送・物流の信頼度が低いからこそその部分を強化することで持続的な優位性を保てるのではないだろうか。日本と違って、欧米での配送面の話は米国のPoshmarkがPoshPostとしてUSPS (米国の郵便局) と提携した例の他あまり聞かないためハードルは高いのだろう。

フリマアプリの最大のキモはユーザーと商品とのマッチングの精度・速度に尽きると思うが、購入後自らのところに商品が届くまで”マッチング”の範疇と考えると、国内・国際 (特にヨーロッパではクロスボーダー取引が重要) 含めた配送・物流に強みを持つことは理に適うのではないだろうか。

 

出典 : European Ecommerce Turnover to Hit €477 Billion This Year – eMarketer | September 14, 2015

 

イギリスのファッションEC ASOS にみるスマートフォン戦略

イギリスのファストファッションブランド ASOSはレディースからメンズ、コスメまで幅広く取り扱うオンライン専業のECサイトです。2011年上半期で既に海外売上が全体の58パーセントを占めています。日本でもZOZO …


イギリス / 英国のファストファッションブランド ASOS (エイソス) は、レディースからメンズ、コスメまで幅広く取り扱うオンライン専業のEコマース (EC) サイト。

5万点以上のアイテムを展開し、1商品から送料無料で海外配送 (ただし、到着まで1~3週間程度) するなど海外販売にも力を入れており、2011年上半期で既に海外売上が全体の58パーセントを占めている。日本でも ZOZOTOWN にて2010年3月から出店していたが、2012年3月にちょうど2年で撤退した。

イギリスのファッションEC ASOS にみるスマートフォン戦略

 

スマートフォン普及によるモバイルコマースへのシフト

さて、世界的なスマートフォンの普及によりモバイルコマース市場は急速に拡大している。米国では、モバイルショッピング利用者全体のうち9割以上がスマートフォンからの利用と予想されており市場も倍々で伸びている。ヨーロッパではこれまでの Nokia 一辺倒から Apple や Samsung が台頭しモバイルショッピングの流れが出来てきている。

ASOS は、昨年2011年にヨーロッパを中心にモバイルデバイス (ほぼスマートフォンと想定) 経由の売上を800%も伸ばした。同年の全トラフィックのうち10%ほどがモバイル経由だったが、年末には比率が19%となり上昇傾向にある。今後モバイル経由の売上比率も20 ~ 30%となると予想されている。

日本に目を移すと、日本の代表的なレディースアパレルのSPAである 夢展望 は、2011年9月時点でスマートフォン経由での売上比率は15%ほどだったが、2012年2月には28%と倍近くになり、そして、2012年中に50%を超えると見込んでいる。

 

スマートフォンベースのECはネイティブとウェブどちらにするべきか

スマートフォン対応へのプライオリティが高まる中、現状、各社を見ると、スマートフォンでのショッピング体験をウェブアプリよりもネイティブアプリで最適化する傾向にあるように思える。ASOS だけではなく、Net-A-Porter、Zara、Forever 21、Fab.com、ZOZOTOWNなどもiOSアプリを開発している。

ASOS のiPhoneアプリを実際に使ってみると、画面はシンプルで分かりやすく、多機能では無いが最低限必要な機能は揃っている。決済時はウェブビュー画面を出していると思われるが、クレジットカード決済もアプリ内で問題なく完結する。また、ネイティブアプリの特長であるGPS機能を活かし、スマートフォンならではのサービスも提供している。アプリ内の “Drop off my return” ボタンをクリックすることで、返品したい商品を返却できる近場の店舗を地図上で教えてくれる。

ネイティブアプリかウェブアプリかの議論は、EC以外でもよくあることで同じような結論にはなるが、上記のGPSや配送場所指定時にアドレス帳にアクセスするなどネイティブ特有の機能が使えることから、現状、決済段階で消費者をアプリ外に遷移させることを除けば、特にサービス上の欠点はネイティブアプリには無いと思われる。問題はプラットフォームに依存することで常に受け手になってしまうことや、開発コスト、そして、値引きなどのプロモーションを細かく実施しようとする時、頻繁な更新ができないということが挙げられる。

実は、ASOS はウェブアプリ (モバイルSafari / Chrome) でもネイティブとほぼ同等のデザイン・機能を提供している。ウェブだとどうしてもデータ読み込みなどで少し引っかかったような動きになるものの、実用的には全く問題ない感じだ。Net-A-Porter も同様に質の高いウェブアプリを提供している。現在、ASOS はネイティブとウェブ両方を試している状態だが、どちらかに経営資源を集中させるのか、それとも当分二足の草鞋でいくのか、動向について注視していきたいと思う。

 

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出典 :
イギリスのEコマース「ASOS」のiPhoneアプリケーション – スマートフォンタイムズ
英国最大級ECサイト「ASOS(エイソス)」オリジナルブランドがZOZOTOWNにオープン – Fashionsnap.com
「夢展望」2012年のスマートフォンでの売上比率は50%を予測 –  MMDインタビュー