アジア市場への進出支援を行っている中で、”ブリッジコーディネーター” という言葉をよく聞きます。
アジアITビジネス研究会にある定義によると、ブリッジコーディネーターとは、
単なる通訳ではなく、双方の企業文化や経営者の考え方、ビジネスの進め方を理解し、業界事情や専門知識を持つ専門のコーディネーター、折衝力とネットワーク力を持つ通訳
とあります。おそらくこれを見て誰もが、”相当理想が高いのではないか?” と感じるのではないでしょうか。
海外市場への進出について相談する際、よく上記の “ブリッジコーディネーターを見つけなさい”、と言われるケースが多いと聞きますが、相談する側にしてみれば、そんな都合のいい人がいれば最高なのはわかりきっているが、どうやったら見つけられるのか? ということが先ずは気になるところだと思います。しかし、そもそも通訳のスキルとその他のスキルが都合良く混在するケースがどれだけあるのかについて、どうしても疑問に感じてしまいます。
例えば、弊社は特にアパレル・ファッション商品のEコマース (EC) の海外進出 (特にアジア市場) を得意としていますが、アパレル・ファッションとEC・インターネットでは業界が異なりますし、また、それぞれのバリューチェーンの上流と下流ではまた企業文化が違ったりします。少し調べていくと、結局、事業のすべてを網羅して理解しているのは、その事業を始める自分だったりします。
取引先の企業文化・経営者の考え、そして、現地の商習慣、業界事情や専門知識は、人に頼るのではなく自分自身で理解すべきところです。折衝力やネットワーク力 (ネットワークをつくる力) は特に海外だからということは無く、国内にいても必要なスキルです。
最後は、言語ということですが、もちろん言語も習得すれば良いに越したことはないですが、ここは手助けがあった方が良いと思います。それでは、そこの機能は通訳者になるのでしょうか? 個人的に台湾で具体的な提携を進めている中で感じるのは、現地パートナーと仲良くなり、彼らにもメリットのあるかたちの事業を一緒にやっていく過程で、通訳的なことも多少手伝ってもらうことができるのではと感じます。
それも一人に頼るのではなく、それぞれで得意分野が違うため複数のパートナーが必要です。ローカルを理解しその道のプロでもあるパートナーは非常に心強いのですが、関係を築いていくには、先ずは小さな案件で良いので一緒に進めてみることです。それが大きくなり先方にメリットのある (もちろんこちらにもメリットのある) 事業になればより信頼性が増すでしょう。
台湾現地には、思ったよりも日中 or 英中のバイリンガル、日英中のトリリンガルの方が多いと感じました。そのような方々は海外と接点を持って仕事をしたいというケースが多いと思いますし、英語力が多少低くても、がんばって話そうとする方々も多いです。言語の問題は、そこにこだわり過ぎると手段が目的化してしまうので気をつける必要があるのですが、個人的には、英語と日本語のコミュニケーションだけでも、それほど大変だという印象は受けませんでした。
結論としては、至極当たり前のことですが、幻想に頼らず、先ずは現地に自分が最低2週間以上滞在して、対象となる取引先の企業文化、経営者の考え、現地の商習慣、業界事情、専門知識を理解して、ネットワークを「自分で」つくるということを薦めます。中国大陸は事情が全く違うのかもしれませんが、少なくとも台湾については、やるだけその価値は必ず積み重ねていけると感じています。
アジア 市場
日本の総広告費が2014年に中国に抜かれるとeMarketerが予想
アジアの総広告費が2014年に北米地域を越えるとeMarketerが予想