「「台湾ECを成功に導くために」と題した講演資料を公開します」の資料からの抜粋が主になりますが、台湾でECを始める理由を以下の通り8つにまとめてみました。
1. EC市場規模が拡大している
台湾の政府機関 Institute for Information Industry (以下、III) によると、台湾のEC市場規模の推移は以下の通りと想定しており、二桁成長が長く続きます。
2012年の台湾の市場規模は日本と比較すると20%強ほどですが、1人口当たりの市場規模でみると日本よりも高い金額となります。
2011年のデータですが、台湾でECサイトへ来訪したユーザー数は年間で約1,000万人、浸透率はインターネットユーザーの63%と、まだ購買者数の伸びしろもあります。
出典 : III, November 2012
2. 決済のインフラが整っている
台湾でよく使われる決済手段は、クレジットカードが最も多く、次いで、ATM支払い・銀行振込、ネットバンキング振込、代引き、コンビニ支払い、と続きます。 ※1
クレジットカードの普及枚数は人口比で1枚以上 ※2 とアジア圏では比較的高く成熟市場となっています。
出典 : ※1 財団法人資訊工業策進会 2011年、※2 JCB
クレジットカードが普及しているとはいえ、年代・性別のセグメントによっては、別の決済手段を用意する必要があります。例えば、20代女性のEC決済には、コンビニ決済が不可欠です。
上記アンケートは、日本のファッションに興味を持つ台湾の20代女性に聞いた結果ですが、圧倒的にコンビニ決済が支持されています。一方、越境ECでよく使われる決済方法であるPayPalは0%という結果になりました。
人口当たりのコンビニ数が世界一といわれる台湾において、コンビニ決済はきわめて有効な決済方法です。
出典 : 株式会社コミューン 内部資料
3. 物流のインフラが整っている
元々、小口配送は大手では中華郵政 (郵便局) が独占していましたが、2000年前半に、ヤマト運輸「黒猫」、佐川急便「飛脚」、日本通運「ペリカン」が台湾市場へ参入し、ブランドと宅配ノウハウ、システム・技術を提供してきました。
現在は、当日配達や冷蔵・冷凍のクール便が使えるなど既に台湾国内物流は充実しています。また、日本から台湾へはクール便を送ることもできます。
出典 : クララオンライン社 japan.internet.com コラム、EMS (国際スピード郵便) Website
4. インターネット普及率が高い
アジア圏では、韓国、日本、シンガポールに次いで台湾は4番目のインターネット普及率と高く、これらに香港を含めてほぼ同レベル率となります。
別資料 (台湾の広告代理店 3digitalminds) の統計によると、台湾の普及率は約74% (2012年末時点) ともあります。
出典 : We Are Social 2nd ed. 2012、3digitalminds
5. ソーシャルメディア普及率が高い
台湾ではソーシャルメディアの影響力が際立って高く、人口1,000万人以上のアジア圏の国に絞ると最もソーシャルメディアの普及率の高い国となります。
台湾メディアによる調査では、台湾国内25~49才のSNSを利用する有職者の95%以上がFacebookを使っています。Facebookの普及率についても、人口1,000万人以上のアジア圏の国で最大の普及率となります。
毎日Facebookを利用している人が約1,000万人もおり、人口比率でみると世界一になります。
出典 : 蘋果日報、東方線上、Facebook Website、We Are Social 2nd ed. 2012
6. 携帯電話・スマートフォン普及率が高い
アジア圏ではシンガポールに及ばないものの、平均で人口比1台以上携帯電話を保有しています。
台湾のスマートフォンの普及率は51% ※1 ほどですが、依存度は高く、台湾のスマートフォンユーザーで、過去7日間に毎日スマートフォンを使ったのは64%と、その利用頻度はイギリス 59%、アメリカ 62%より高い結果となっています。 ※2
出典 : ※1 Google Our Mobile Planet、※2 Google 2012, We Are Social 2nd ed. 2012
7. 富裕層比率が高い
台湾のミリオネア (約1億円以上の資産を保有) の世帯数は世界で8位、全世帯あたりの比率でも同じく8位となっています。アジア圏でみると、世帯数は日本、中国に次いで3番目、比率でも香港、シンガポールに次いで3番目です。
香港とシンガポールに富裕層が集中しているのは周知の事実ですが、人口1,000万人以上の国に絞ると、アメリカに次いで、台湾は世界で2番目に全世帯におけるミリオネアの比率が高い国となります。
出典 : Boston Consulting Group Global Wealth Market-Sizing Database 2013
8. 親日度が高い
台湾で実施したアンケートによると、台湾人の「最も好きな国」は、2位に大差を付けて日本が1位となっています。
また、日本政府観光局が発表している訪日外国人旅行者 (インバウンド) 総数でも、直近3ヶ月 (2013年5 〜 7月) でみると、1位か2位になっており、人口あたりの訪日旅行者数も上位に位置しています。
出典 : 日本経済新聞 交流協会アンケート結果、2013年5, 6, 7月訪日外客数 (日本政府観光局 推計値)