米国でのスマートフォンモバイルアプリ接触時間がデジタル全体の半分に

comScoreの2016年7月のデータによると、米国ユーザーのデジタルメディア接触時間の50%がスマートフォンアプリからとなった。スマートフォン全体での接触時間のシェアは57%で、うちモバイルウェ…

 

comScoreの2016年7月のデータによると、米国ユーザーのデジタルメディア接触時間の50%がスマートフォンアプリからとなった。

 

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スマートフォン全体での接触時間のシェアは57%で、うちモバイルウェブはわずか7%で大半はアプリの使用になる。

スマートフォンのシェアの伸びは、4G LTEネットワークの普及や画面サイズが比較的大きくなってきたことが背景にある。モバイルウェブがデスクトップよりも使い難いと言われてきた弊害をアプリが解決した、もしくはより使いやすくした、とも考えられるが、それにしてもスマートフォンアプリは圧倒的なシェアを誇っている。

 

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出典 : Smartphone Apps Are Now 50% of All U.S. Digital Media Time Spent – comScore | September 1, 2016

 

米国でのメディア接触時間とデジタル対テレビの広告市場シェア

Nielsenの2016年Q1のデータによると、米国18〜34歳の消費者のアプリとインターネット (ビデオ視聴含む) を合計した週間メディア接触時間がテレビの接触時間を超えた。テレビについては年代が…

 

Nielsenの2016年Q1のデータによると、米国18〜34歳の消費者のアプリとインターネット (ビデオ視聴含む) を合計した週間メディア接触時間がテレビの接触時間を超えた。

テレビについては年代が上がる毎に見事に接触時間が長くなっている。インターネットについてはモバイルがデスクトップを常に上回り全体で2倍近い接触時間となっており、18〜24歳の年代で見ると4倍近く差がひらいている。

 

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Magna Globalの2016年6月に発表されたデータによると、米国では広告市場規模 (広告費) のシェアで、デジタルとテレビが激しく争っており、2016年度の予想では両者が38%で並んでいる。

しかし、今後数年でデジタルが完全にテレビを追い越し2020年にはシェア50%に届くと予想されている。

 

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出典 : TV and Digital Are in a Dead Heat for US Media Dollars – eMarketer | October 4, 2016

 

東南アジアのスマートフォン・モバイルコマース (EC) 環境について

これまで「競合ひしめく東南アジアのCtoCマーケットプレイス事業・フリマアプリ」、「マレーシアのモバイル事情を知るための12の事実」、「東南アジアと日米のモバイル・スマートフォン普及状況比較」 …

 

これまで「競合ひしめく東南アジアのCtoCマーケットプレイス事業・フリマアプリ」、「マレーシアのモバイル事情を知るための12の事実」、「東南アジアと日米のモバイル・スマートフォン普及状況比較」、「東南アジアEC市場拡大の鍵を握るスマートフォンユーザー」などで、東南アジアのスマートフォン・モバイルコマース (EC) 環境について考えてきたが、We Are Social の最新レポート (January 27, 2016) を参考にして、現状について新たに確認をしていきたい。

 

スマートフォン・PC・タブレット所有率

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上表は、インドネシア・タイ・マレーシア・シンガポールの東南アジア4カ国に比較対象として中国・米国・日本を加えた、スマートフォン、PC、タブレットの所有率 (成人人口を分母とした所有者の率) である。

スマートフォン所有率は、東南アジアではインドネシアを除いて比較的高い率となっている。米国・日本は思ったよりも低いが、人口の割りに高い率となっている中国は驚異的だ。インドネシアは、まだまだプリペイドのフィーチャーフォンが多いのか、または人口が多い分まだ浸透しきれないのか低い率となっている。

PC (ラップトップ・デスクトップ) の所有率は、シンガポールを除いた東南アジアの国々とそれ以外では多く差が出ている。日本はある程度の人口の国の中では最高位ではないだろうか。スマートフォンで事が足りているということもあるだろうが、シンガポールの除く東南アジアでのPC所有率は低く、PC購入は一般的にまだ経済的ハードルが高い。

 

デバイス別ウェブページビューシェア

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上表は、その上の表と同じ国々を対象として、モバイルフォン、PC (ラップトップ・デスクトップ)、タブレットからのウェブページビューのシェアを表している。

インドネシアを除く東南アジアと中国は似た傾向にあり、モバイルとPCのシェアにそこまで大きな差が無い。タイ・マレーシアでのPC所有率が比較的低かったことを考えると、PC所有者はPCをメインにウェブを閲覧していることになる。インドネシアはそもそもPCの所有率がきわめて低いため、どうしてもウェブ閲覧はモバイルが中心になり、この傾向は今後も変わらないだろう。

米国・日本でもPCからのウェブページビューのシェアが高い。スマートフォンであれば当然アプリに費やす時間を加味しなければならないので一概にPCが強いとは言えないが、ウェブ閲覧に関してはモバイルではなくPCをメインにしているようだ。「世界的なモバイルシフトを裏付けるデータ」の通り、米国では既にモバイルデバイスのアプリを通してインターネットにアクセスする時間がPCのそれを超えている。

 

デバイス別商品・サービス購入率

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最後に、上表は、モバイルデバイスとPC (ラップトップ・デスクトップ) で過去30日間に商品またはサービスを購入したユーザーの率を表している (アンケートベース)。

これらはモバイルアプリも含めた率かと考えるが、全体的にまだまだPCの方が強い。特にシンガポール・米国・日本は顕著になっている。

シンガポールを除く東南アジアのインドネシア・タイ・マレーシアと中国はそこまでPCとの差が大きくない。シンガポールはPCからの購入率は高いものの、モバイルからの購入率も低いわけではない。

中国は既にモバイルコマース大国として認知されているので別格としても、東南アジア各国 (インドネシアはまだ早いかもしれないが) でのモバイルコマースの潜在力が高いことを表しているのではないだろうか。

 

出典 : Digital in 2016 – We Are Social UK | January 27, 2016

 

ヨーロッパのC2Cマーケットプレイス事業・フリマアプリ現状

ヨーロッパのEコマース (以下EC) 環境については、以前「イギリスのファッションEC ASOS にみるスマートフォン戦略」にて、既にモバイルでの売上比率が上がってきている状況を述べたが、C2C…

 

ヨーロッパのEコマース (以下EC) 環境については、以前「イギリスのファッションEC ASOS にみるスマートフォン戦略」にて、既にモバイルでの売上比率が上がってきている状況を少し述べたが、C2C (CtoC) マーケットプレイス事業・フリマアプリの現状はどうなのだろうか。

先ずeMarketerが発表してる2014年のヨーロッパ各国のEC市場シェアを見てみると、ヨーロッパ内では、英国 (United Kingdom) の市場が最大規模で、次にドイツ、フランスと続き、この3カ国で全体の6割ほどを占める。

ヨーロッパと一言でいっても人種や第一言語が異なるため、アジアと同じく一括りで考えることは出来ないが、これら3カ国それぞれである程度のダウンロード数を維持出来ていれば、その後の展開は自ずと進んでいくのではないだろうか。

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ちなみに英国は、「全世界 小売り市場規模・Eコマース市場規模・EC化率」にある通り、世界的に見ても第3位のEC市場規模があり、EC化率は世界一を誇っている。

以下のアプリは、英国・ドイツ・フランスにおけるiOSアプリApp StoreのShoppingカテゴリFree AppsのTop24になるが、その中でC2Cマーケットプレイス・フリマアプリを各国毎に見ていきたい。

 

【英国】
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英国でのC2Cアプリは、1. eBay、3. Shpock、4. Gumtree、12. Depopの4つになる。Top5のうち3つを占めており、既にフリーマーケットのモバイル化は浸透しているようだ。

2位の Shpock (SHop in your POCKet) はオーストリア発のフリマアプリで昨年Schibsted Classified MediaへExit済みのサービス。英国、ドイツ、オーストリアのShoppingカテゴリで1位になった実績があり、ヨーロッパのフリマアプリの代表的な存在といえる。Premium features (In-App Purchases) を購入すれば自らの出品を目立たせることやアプリインストールの広告が表示されているなど、ビジネスモデルは取引時の手数料モデルではなく広告モデルでClassified Ads (三行広告) に近い。

4位のGumtreeは英国ベースで米国のCraigslistと並ぶ老舗Classified Adsサービスで、取引のメインカテゴリとしてクルマや求人、賃貸住宅などが並ぶ。シンガポールでも地下鉄ホームジャック広告を展開するなどアジア圏でも知名度のあるアプリである。

 

【ドイツ】
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ドイツでのC2Cアプリは、1. 4. eBay、2. Shpock、10. Kleiderkreisel (米国/英国ではVinted)の3つになる。eBayとShpockが英国と同様に上位に名を連ねている。

10位のKleiderkreiselはリトアニア発のファッションに絞ったフリマアプリで米国/英国ではVintedの名前で展開している。Forumタブをタブバーの中心に置くコミュニティを重視したアプリで、日本のアプリと同様に決済や配送サポートまで当初から取り入れている (手渡し向けのローカルサーチの機能も併用している)。

 

【フランス】
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フランスでのC2Cアプリは、13. eBayのみと寂しい市場だ。ちなみに1位のAliexpressは中国のAlibabaグループのB2Cプラットフォームのアプリであり英国でも6位と影響力の高さが伺える。

上記3カ国に顔を出しているのはeBayのみだが、よく言われる通りeBayは純粋なC2CというよりはスモールB (小規模事業者) の新品商品の販売場所としても定着しているので、厳密にはフリマアプリとは言えないだろう。

 

米国のフリマアプリOfferUpなどもそうだがヨーロッパもClassified Adsに慣れ親しんでいたせいか、ローカルでのモノの手渡しといった考え方が根強くあるように感じる。フリマアプリには手渡し型・配送型がありそれらのハイブリッド型もあるが、上記のアプリで言うと、手渡し型はShpock、Gumtree、配送型はeBay、ハイブリット型はDepop、Kleiderkreisel (Vinted) に分けられる。

物流・配送が高度に発達した日本では、フリマアプリといえば、購入決済時に手数料があり、その後に配送手続きをすることがほとんどのアプリで当たり前だが、米国・ヨーロッパでは必ずしもそうではない。

しかし、配送・物流の信頼度が低いからこそその部分を強化することで持続的な優位性を保てるのではないだろうか。日本と違って、欧米での配送面の話は米国のPoshmarkがPoshPostとしてUSPS (米国の郵便局) と提携した例の他あまり聞かないためハードルは高いのだろう。

フリマアプリの最大のキモはユーザーと商品とのマッチングの精度・速度に尽きると思うが、購入後自らのところに商品が届くまで”マッチング”の範疇と考えると、国内・国際 (特にヨーロッパではクロスボーダー取引が重要) 含めた配送・物流に強みを持つことは理に適うのではないだろうか。

 

出典 : European Ecommerce Turnover to Hit €477 Billion This Year – eMarketer | September 14, 2015

 

競合ひしめく東南アジアのC2Cマーケットプレイス事業・フリマアプリ

東南アジアでも当然Eコマース (以下EC) の主戦場はモバイルである。マレーシアでもシンガポールでも、元々ウェブ主体のECのほとんどがモバイルアプリ (iOSよりもアンドロイドが主流) を展開し…

 

東南アジアでも当然Eコマース (以下EC) の主戦場はモバイルである。マレーシアでもシンガポールでも、元々ウェブ主体のECのほとんどがモバイルアプリ (iOSよりもアンドロイドが主流) を展開している。そして、現在、モバイル最適化が特徴的なC2C (またはCtoC) マーケットプレイスアプリ (所謂フリマアプリ) のプレイヤーが非常に注目されている。

 

top-shopping-mobile-app-malaysia【Google Play Store – Shopping ranking in Malaysia】

 

C2Cマーケットプレイスのプレイヤーは基本的にサービスのUXをモバイルアプリに最適化させている。Carousell、Shopee、Duriana、SnapSellらのように全カテゴリ対応するサービスの他にもファッションに特化しているReebonzやClosetStylesなどのサービスがある。

ウェブ時代からの強豪であるLelong.myやGumtree、eBayもモバイルアプリを出している。また、シンガポール最大のBtoCマーケットプレイスのQoo10もアプリを出しており、C2Cのように個人で登録して商品を売ることができる (出品はウェブからのみ)。

このように新旧のモバイルアプリ・ウェブ、そして、BtoCと見られるマーケットプレイスでも個人販売ができるなどサービスがひしめき合っているのが、マレーシア・シンガポールのC2Cマーケットプレイス事業の現状である。

 

今後、全カテゴリに対応しモバイルアプリに最適化されたサービスの中で1、2社は生き残るだろう。今のところCarousellとShopeeが優勢な状況で、モバイルに最適化し切れないウェブ主体のサービスは彼らに勝つことは出来ない。また、彼らと競争するために今から参入するのは遅い、というのも現地での意見だ。

このような現状で参加しているプレイヤーはどうすれば勝てるのか?一つはカテゴリ特化型 (Vertical market) で突き抜けること、サービスにストーリーがあり将来横展開が可能な分野であれば可能性が高いだろう。

しかし、シンガポール・マレーシアなど人口の少ない国では満足のする規模にまでスケールしないことが見えてくる。そこで、クロスボーダーの取引をサービス内に取り入れることが必要となる。

東南アジアで苦労する決済と物流のうち、決済は現地オンラインモールのように商品代引き (COD) 決済をメインにして現地固有の決済方法をある程度揃えればなんとかなるが物流、特に国際物流はさらなる工夫が必要だ。AlibabaがSingPostの第2位株主になるなど、東南アジア間に限らず中国なども含めたクロスボーダー取引の整備は進んでいるように見える。

CarousellやShopeeは、シンガポール・マレーシア以外にもインドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン、台湾などにも進出しており、前述のAlibabaが運営するTaobaoも中国を中心に既にクロスボーダー取引を実施している。圧倒的なスケールが必要なモデルであるC2Cマーケットプレイス事業では、今後は各国内だけでの点の競争ではなく、多国間の面での競争になるだろう。

 

出典 : Top Malaysia e-commerce trends in year 2015 – eCommerceMILO | December 30, 2015